英語

「案件」は英語で何と言う? 翻訳者・通訳者泣かせの日本の言葉

プロジェクトメンバーの集まり

 

「案件」の訳語は「proposition」でいいの?

知り合いからの質問です。

残念ながらイエスまたはノーでシンプルに答えることはできませんでした。

「案件の内容が proposition なら proposition でいいと思うけど、案件の内容が proposition でないなら違うと思う」

proposition は「提案」です。例えば、あなたの会社に買収のお話が来ています。社内ではこれを買収案件と呼んでいます。英語では merger proposition です。

でも、日本人はとても広い意味で「案件」という言葉を使います。その中身は常に「提案」とは限りません。

例えば。

 弁護士さんに聞きました。「どんな案件を扱ってるんですか?」

What type of cases do you handle?

 新規のプロジェクトについて聞きました。「新しい案件の進捗状況は?」

How is your new project coming along?

 上司に出した企画書について同僚から聞かれました。「あの案件、承認されたの?」

Has the plan been approved?

「未解決の案件がいくつかある、何とかしないといけない」

There are some outstanding issues that need to be addressed.

 取締役会の「議決案件」と「報告案件」

Matters to be resolved by and reported to the Board of Directors

 会議で「次の案件に移ります」と議長が言いました。

Let’s move onto the next item on the agenda.

 管理人のような翻訳者に尋ねます。「お願いしたい案件があるんですが、ご検討願えますか?」

I have some documents that need to be translated. Would you be interested?

 急成長中のアドテク企業の社長さんが言いました。「代理店の案件(引き合い)も増えています」

We are getting more RFPs from agencies.

「申し訳ありませんが、その日は別の案件が入っています」

I’m afraid I have a prior engagement that day.

 広告会社の営業の人が言いました。「新規の案件の担当になったんだ」

I’m now working on a new campaign.
I’m now working with a new client.

で。結局「案件」の訳語はどうすればいいの?

depends です。案件の具体的な内容に応じて訳語を考えます。この「案件」は具体的には何を指すのだろうか? その答えが訳語選びのヒントになります。

「案件」に限ったことではありません。えっ、これ英語で何て言えばいいんだ?という局面では、このアプローチはほぼ常にワークします。

 

末筆ながらこの記事のタイトルについて。「案件ごときで泣かねーよ」という全国の翻訳者の皆様、通訳者の皆様、たいへん失礼いたしました。

読んでくれてありがとう。また来てね。